足元の海岸側に旧街道が残っておりここからさらに海に下りる細道の先に崩れかけた桟橋がある。 いまでは釣り人しか訪れぬ場所だが古くは海路扇谷を訪れる観光客で賑わった。
目の前に浮かぶのが要島(かなめじま)で扇(谷)の要ということになる。 ここで見る名月は、海面に砕け散る月影、松並の黒い影―まさに名画の世界だ。
東に大小の岬があり大きい岬の踏み跡の先端にコンクリート製の塔が立つ。 塩釜港界立標という銘版がはめ込まれている。 高さは7mほどか、古代エジプトのオベリスクに似た形のこの塔、東南に9Km離れた花淵崎・東10Km先の木の島にも立っている。 3本を結んだなかが塩釜港という印だ。以前は白塗りで海上から見えるよう周辺の立木も刈り払われていたが、船舶の運用も近代化ということか使われぬとみえ、塔は黒灰色にくすみ、成長した立木に覆われている。 ここは萱野崎という、松島海岸側に付け足したような極く小さな岬があり腕岬という、眺めがいいが「渡る」のが怖い、その意味は現地で解いてご覧あれ。