【文字三山伝説】
栗駒連峰の南麓に位置する中ノ森は、 大土ヶ森・櫃ヶ森と共に「文字三山」と呼ばれる伝説の山である。 どんな伝説かというと、大土ヶ森の神「大土彦」と櫃ヶ森の神「お櫃姫」は、 たいそう仲が悪く、毎日高さ比べをしては、頭から湯気を出していたというほど。
ある日、大土彦は、とうとう「策」を企てた。 それは人夫を使って、お櫃姫の頭を切り崩そうというもの。 そして、その切り崩した土を自分の頭に盛って、高さを上げようとした。 それで大土ヶ森は、今のように尖った優美な形になり、 頭を削られた櫃ヶ森は、上部が真っ平らになってしまったとのこと。
お前達の喧嘩以前に、栗駒山という高い山があると、 揚石山が幾度も説得するものの、二人は全く聞き入れることなく、 散々な結末になってしまった。 揚石山はそのさまを見かねて、いよいよ仲裁に入る。
その熱意ある説得に、二人は頷いた。 今後は夫婦となり、互いに助け合っていくことで和解した。 その後、二人の間に生まれた子が、この中ノ森である。 大土ヶ森のシツケが厳しく、今はお母さんの櫃ヶ森の傍に移った。 |