試みに辞書を引いてみましょうか。 手元の広辞苑(昭和58年刊第三版)には「里山」の項がありません。 まさかと思うでしょう。
じつは里山という言葉は、 昭和20年代に四手井綱英さん(しでい・つなひで・当時京都大学教授・森林生態学者)が作ったものなのです。 つい20年前の辞書にのらない、定着したのはごく近年だということなのです。 四手井さんの研究と山への愛情、人間性の素晴らしさにここでは触れません。
里山とはひとことでいえば「人間に利用される山」宗教、薪炭、食材、用材、猟など さまざまの形で人間の生活に密接に関わり活用されてきた、なかば人の手のかかった山のこと。 ですから山名がない、路がないなどということはあり得ないのです。
ところが近年、これら人間と山との深い関係が急速に失われ里山は「自然」の山に還元しつつあるのです。 しかしこれについても詳述するは別の機会にしておきます。 |